石器の製作

 旧石器時代の人々は、石や木材、動物の骨を材料に道具を作り、生活をしていました。しかし、日本の旧石器時代の遺跡からは、木材や動物の骨などの有機物質は腐ってしまうため、基本的に石しか見つかりません。石は、道具にするために打ち割られます。この打ち割れた石が、ある一定の範囲からまとまった状態で見つかります。このことを『石器集中(またはブロック)』と呼びます。当時の人々が石器を作った場所とされています。石器集中の大きさは大小あり、またそこから見つかる石器の数も多い、少ないと違いがあります。大きさや石器の数の違いは、当時の人々がその場所で何をしたのかによって異なってきます。

 石器集中の中からは、ナイフ形石器、尖頭器、細石刃などの狩りをする際に使用したと考えられる道具、モノを削る道具と考えられている削器、動物の皮をなめす道具と考えられている掻器などの加工の道具、それらを作る素材にするための素材剥片(そざいはくへん)、石器を作ら際にでる石クズとしての剥片・砕片(さいへん)、そして石核と呼ばれる石器を作るための材料である石の塊が見つかります。
 写真は、石器集中の中から出土した尖頭器です。

 石器集中は石器を作った場所だけではなく、そこで生活をしていた痕跡でもあります。日本の旧石器時代の遺跡からは、当時の人たちが食べたゴミは見つかることはありませんが、調理の際に使った焼けた礫のまとまり(礫群)や炉址、火の使用によって出来たと考えられる炭が見つかっています。これらは石器集中と同じ場所から見つかることがあるので、火を囲みながら、当時の人々が石器を作り、そこで食事をしていたと考えられます。
図は、石で囲われた炉址とその周りから石器が出土している図です。

【引用図資料】
鈴木次郎・恩田勇1996
「宮ヶ瀬遺跡群Ⅵ」かながわ考古学財団調査報告8 財団法人かながわ考古学財団 第135図185頁

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